ウニはなぜ好みが分かれるのか。ムラサキとバフンの違いとミョウバンの正体

The Tokyo Sushi Guide の特集 監修|髙田 達央(奥赤坂 鮨 淡師 店主) 更新 読了 約6分

ウニほど、初めての一貫で印象が決まってしまう鮨だねは珍しいかもしれません。とろける甘みの記憶になる方もいれば、苦味だけが残ってしまう方もいます。この記事では、ムラサキウニとバフンウニの違い、苦味のもとになりやすいミョウバンという処理、そして軍艦巻きと直載せの使い分けを手がかりに、ウニともう一度出会い直すための知識をまとめました。

この記事でわかること

  • ムラサキウニとバフンウニ、色と甘みの違い
  • 「ウニは苦い」の正体になりやすいミョウバン処理と、塩水ウニとの違い
  • 軍艦巻きが生まれた理由と、直載せで出す職人の狙い
  • 7月に最盛期を迎える北海道のウニと、昆布の海の関係
  • 苦手意識のある方が、もう一度試すときの選び方
目次

ウニほど評価の割れる鮨だねは少ない

鮨だねの中で、ウニほど評価の割れるものは多くありません。とろけるような甘みに惹かれる方がいる一方で、「一度食べて苦手になった」という声もよく聞きます。実は、その分かれ方には理由があります。

ウニは種類、産地、そして獲れてからの処理によって、味わいが大きく変わる食材です。初めて口にした一貫がどんなウニだったかで、印象がほとんど決まってしまう。苦手の記憶を持つ方も、別の一貫と出会えば景色が変わることがあります。

ムラサキウニとバフンウニ、二つの顔

鮨店でよく出会うのは、主にムラサキウニバフンウニの二種です。ムラサキウニは身の色が淡い黄色で、粒は大きめ。すっきりとした上品な甘みが持ち味です。バフンウニは濃いオレンジ色の小さめの粒で、磯の香りとコクのある濃厚な甘みがあります。

種類身の色と粒味わいの傾向
ムラサキウニ淡い黄色。粒は大きめすっきりと上品な甘み
バフンウニ濃いオレンジ。粒は小さめ濃厚でコクのある甘み

どちらが上というものではなく、好みと合わせ方の問題です。濃厚な味が得意でない方は、ムラサキウニの淡い甘みから入ると印象が変わりやすいようです。

「苦い」の正体、ミョウバンの話

「ウニは苦い」という記憶の多くは、ミョウバンという保存処理に由来すると言われます。ウニの身はとても崩れやすく、木箱に並べる板ウニには、多くの場合、型崩れを防ぐためにミョウバン水にくぐらせる処理が施されます。この処理が強いと、渋みや薬品めいた苦味として舌に残ることがあります。

一方、塩水ウニは海水に近い塩水に身を浮かべて運ぶもので、形は崩れやすいものの、獲れたてに近い甘みが残ります。近年は塩水ウニを選ぶ鮨店も増えてきました。

肝心なところ: 苦手の記憶は、ウニそのものではなく、保存処理の渋みに由来していることが少なくありません。

軍艦巻きと直載せ、それぞれの理由

ウニといえば、海苔で巻いた軍艦巻きを思い浮かべる方が多いはずです。軍艦巻きは昭和に生まれた比較的新しい形で、崩れやすいたねを舎利の上に留めるための工夫でした。海苔の香ばしさがウニの甘みを引き立てる、理にかなった仕立てです。

一方で、粒がしっかりしたウニなら、海苔を使わずに舎利へ直接載せる「直載せ」で出す職人もいます。海苔の香りを挟まないぶん、ウニと赤酢の舎利だけの一体感を味わえます。どちらで出すかは、その日の粒の状態を見た上での判断であることが多いようです。

7月、北の海のウニが食べどきに

ウニの旬は種類と産地でずれますが、東京のカウンターで夏に存在感を増すのは北海道のウニです。エゾバフンウニやキタムラサキウニは6月から8月にかけて最盛期を迎えます。利尻や礼文、積丹といった昆布の豊かな海で育った身は、7月のいまがまさに食べどきです。

全国から旬の魚を選ぶおまかせの店では、夏の献立に北の海の便りが加わることも珍しくありません。東京・奥赤坂の鮨 淡師のように、九州を軸としながら全国の旬を追う店にとっても、夏は海の地図が北へ広がる季節です。

もう一度、ウニと出会い直すために

苦手意識のある方がもう一度試すなら、選び方を少し変えてみるのがおすすめです。「塩水ウニ」と表記のあるもの、産地の書かれたものを選ぶ。おまかせのカウンターなら、職人に「ウニが少し苦手で」と伝えてみるのもよい方法です。その日の粒を見て、淡いムラサキウニを直載せで、といった提案をしてくれることもあります。

気負わなくて大丈夫です。ウニは一粒ごとに海の育ちが映る、奥行きのあるたねです。苦手の記憶がほどけたとき、夏のカウンターの楽しみはひとつ増えます。

よくあるご質問

ウニが苦く感じるのはなぜですか?

多くの場合、型崩れを防ぐためのミョウバン処理に由来します。処理が強いと渋みや苦味として舌に残ることがあります。塩水ウニや処理の浅いものでは、こうした苦味を感じにくい傾向があります。

ムラサキウニとバフンウニ、初めてならどちらがよいですか?

好みによりますが、濃厚な味が得意でない方は、すっきりと上品な甘みのムラサキウニから試す方が多いようです。磯の香りとコクを楽しみたいなら、バフンウニが向いています。

ウニの旬はいつですか?

種類と産地によってずれます。北海道のエゾバフンウニやキタムラサキウニは6月から8月が最盛期です。産地が移り変わるため、時期ごとに違う海のウニを楽しめます。

ウニの軍艦巻きに醤油はつけますか?

おまかせのカウンターでは、煮きりや塩で味を調えてから出されることが多いので、まずはそのまま口に運んでみてください。軍艦巻きは傾けると崩れやすいため、手を加えずいただくのが食べやすい形です。

ガイドから、カウンターへ

奥赤坂の八席のカウンターで、味わう。

江戸前の仕事に、ていねいな熟成を。一貫ずつ、その日の最良を握ります。海外のお客様には英語でご案内します。

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カウンターに立つ奥赤坂 鮨 淡師 店主 髙田 達央

監修

江戸前の伝統に学び、九州に根を持つ髙田 達央が、東京・奥赤坂の八席のおまかせカウンターに立ちます。The Tokyo Sushi Guide の監修者です。

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